2025年3月27日(木)・28日(金)に開催された、アイスマイリー様主催のイベント「AI博覧会 spring 2025」にて、会場内の装飾を担当しました。
イベントの成功には、会場のレイアウトや装飾が大きく関わってきます。PR訴求の効果、来場者の動線設計、使用する媒体の特性、什器の強度など、さまざまな視点から工夫を凝らすことで、来場者がスムーズに会場を回遊でき、印象に残る空間を演出することが可能です。
本記事では、媒体の役割に応じた装飾づくりの基本から、動線設計の考え方、視線を引きつけるための装飾のコツまで、詳しくご紹介していきます。
来場者の行動をデザインする!動線を意識したレイアウト設計
動線設計では、来場者がストレスを感じることなくスムーズに移動できるようにすることが重要です。特に意識したいのは、次の3つのポイントです。
(1)来場者の流れを想定する
会場を訪れた来場者が、どのように意識や行動を変化させていくのかを事前に想定することが重要です。
実は、イベント装飾にも、マーケティングファネル(認知 → 興味・関心 → 比較・検討 → 購入)の応用を活かすことができます。
例えば、認知ファネルはイベント会場のエントランスやエントランスに来るまでの動線内に認知をさせる媒体を設置する。
基本を踏まえたうえで、来場者の入場から退場までの動きをシミュレーションし、スムーズな移動を実現するための動線設計を行います。

(2)来場者が迷わず移動できるサインの設置
来場者がスムーズに行動できるようにするには、的確なサイン(案内表示)の設置が欠かせません。
たとえば、あなたがあるイベントに参加しようとしているとします。まず向かうのはイベント会場ですよね。「会場は◯◯ビルです」と案内があれば、ビルまではたどり着けるでしょう。しかし、ビルに着いたあと、「イベントはこの中のどこで行われているのか?」と迷ってしまうかもしれません。
こうした混乱を防ぐには、「入口はこちら」「受付はこちら」など、来場者が次に取るべき行動を自然に導くサインが必要です。
サインを設置する際は、案内が必要な場所(入口、受付、トイレ、休憩所など)を事前に想定し、それぞれに合った内容のサインを用意しましょう。また、サインは「大きく」「シンプルに」「誰が見ても分かりやすい」デザインを心がけることが重要です。
- 入口や受付、トイレなどの重要な場所に適切な案内表示を設置。
- 大きく、シンプルで分かりやすいサインにすることを心掛ける。
- 来場者の参加状況により混雑してしまう箇所が誘導するサインをどこに設置するかを考える
来場者の目線を考慮して媒体の制作をする
「コンビニで一番売れる商品は、上から2段目の棚に置かれている」といった話を聞いたことはありませんか?これはVMD(ビジュアルマーチャンダイジング)の購買意欲を高めるマーケティング手法であり、地面からおよそ75〜135cmの高さが、目に入りやすい、一番売上を上げやすいゾーン(=ゴールデンゾーン)とされているためです。
この考え方は、イベント会場の掲示物の高さにも応用できます。イベントでは、来場者が少し目線を上げて行動する傾向があるため、注目されやすい高さはおよそ100〜160cmとされています。
そのため、この目線の高さに合わせて案内サインや誘導パネルなどを設置すると、媒体物をより効果的に活かすことが期待できます。また、会場全体演出にも、天井から吊り下げる大型の垂れ幕やバナーなども効果的です。遠くからでも確認できるため、認知ファネルにもつながります。

(3)会場全体を目的に応じてゾーニング(区分け)する
イベント会場には、さまざまな出展社がブースを構えています。中には、派手な装飾やきらびやかな照明で目を引くブースもあるでしょう。そのような中で、会場全体の装飾はどのように工夫すべきなのでしょうか。
ポイントは、「目的別に色分けしてゾーニング(区分け)を行う」ことです。
イベント全体の象徴となるデザインには統一感を持たせつつ、ステージ、展示エリア、ラウンジなど、ゾーンごとの役割を明確に分けることで、来場者が迷わず行動できる導線をつくることができます。ゾーニングによって空間にメリハリが生まれ、イベント全体の印象もより洗練されたものになります。
- イベントの象徴となるデザイン(コンセプトデザイン)は統一感を出す。
- ステージ、展示エリア、休憩スペースなどのゾーンを明確に分ける。
- それぞれのゾーンを視覚的に区別するために、異なるカラーや装飾を使用。
0から作るイベント装飾制作の考え方
イベント装飾を0から考える際には、以下のステップを踏むことが重要です。
(1)会場の決定と把握
まずは、会場の広さやレイアウトを把握します。 次にイベントのテーマや目的に合わせて、どのような装飾が必要かを考えます。
(2)必要な媒体の選定定と把握
イベントによって必要な装飾や媒体は異なります。例えば、以下のような媒体が考えられます。
- フラッグサイン(場所を取らずに装飾できる)
- 案内看板・誘導サイン(誘導をスムーズにする)
- 会場案内図サイン(会場の案内マップ)
- イベントリーフレット(イベント内容のまとめ冊子)
- フォトスポット(SNS映え媒体で話題性を高める)
- ステージ装飾(主役となるエリアを魅力的に演出)
- フラッグサイン(縦型で場所を取らずに装飾できる)
(3)具体的なデザインと配置の計画
来場者の視線や動線を意識しながら、各装飾のデザインと配置を決定します。高さや視認性にも注意を払い、効果的に装飾を配置しましょう。
視線を引きつける装飾のコツ
イベント装飾は、来場者の印象を左右する大切な要素です。視線を引きつけ、記憶に残る装飾を施すためのポイントを紹介します。
アイキャッチ効果を狙う
大きなロゴや目立つカラーを使ってブランドやイベントの認知度を高めつつ、照明やデジタルサイネージを活用してダイナミックな演出を加えます。
素材や質感で高級感を演出
素材は強度の問題や設置場所によっては落下を伴う重さにも関わってくるので注意が必要です。それらを考慮しながらイベントにあった素材を駆使するのがいいと思います。照明を活用し、立体感や奥行きを演出するのにも役立ちます。

防炎クロス
防炎加工が施された布地。消防法第8条の3において、防炎クロスの使用を求められることもある。
マットコート紙
マットな質感の紙。一般的によく使用される用紙。照明の反射等の考慮が必要な場合に使用する。
コート紙
艶のある質感の紙。照明を使用する場所では用紙の表面が反射して内容が見にくくなる為、使用を避けた方が良い。
マットPPコート
一般的な用紙にPPというフィルム加工を行うことで、屋外でも掲示が可能。雨天時でもPPが撥水するため使用が可能。
ユポ紙
紙ポリプロピレン樹脂を主原料とし、紙とプラスチックの特性を兼ね備えています。重量もPP加工した用紙よりも軽い。
パネル
ポリプロピレン素材のパネル。吊り下げパネルとして使用したり、イーゼルに乗せて使用する場合などが可能。軽量で取り扱いやすいのも特長です。
ターポリン
合成繊維の織物に塩化ビニル樹脂を貼り合わせたシート素材。防水性・耐久性に優れ、屋外でも使用可能。天吊りの垂れ幕や大型バナーに適しています。
メッシュターポリン
ターポリンがメッシュ状になっており、風を通す構造が特長。強風などが吹く屋外で使用する場合が多く、フェンスや足場の養生幕などにも適しています。
スチレンボード
発泡スチロールを圧縮して強度を持たせたボード素材。軽量で加工しやすく、エントランスゲートや立体的な装飾物の制作に適しています。
オクタパネル
支柱と支柱の間に差し込むパネルで、展示会のパーテーションとして使用。ブースの間仕切りや装飾壁としても活用されます。
テンションファブリック
軽量アルミフレームにファブリックを取り付けて飾るパネル看板システムです。シワになりにくく、美しいビジュアル表現が可能です。
まとめ
イベントの成功には、会場レイアウトと装飾の工夫が欠かせません。来場者の動線を意識したレイアウト設計や、視線を引きつける装飾を取り入れることで、よりスムーズで印象的なイベントを実現できます。
使用する媒体の特性や品質の強度、誘導動線など、さまざまな視点から丁寧に設計・制作を行わなければなりません。トラムでは、企画段階から現場設営まで一貫してサポートしており、来場者が快適に回遊でき、記憶に残る空間づくりをお手伝いします。
ぜひ本記事を参考に、次のイベントの計画にお役立てください。そして、装飾やレイアウトでお困りの際は、ぜひトラムにご相談ください。ご要望に合わせた最適なご提案をさせていただきます。